2017年 12月 31日
TOTO__TOTO
アメリカを代表するロックバンドのTOTOが1978年に発表したデビューアルバム「宇宙の騎士」が今回のテーマ。TOTOは本ブログ初めての登場である。
TOTOが本アルバムでデビューした当時は、「何だかとてつもない凄いバンドがいるらしい・・・」的な評判が高まったように記憶しているが、実はその後の印象がほとんどない。ただ、本アルバムのA面3曲目”Georgy Porgy”だけは不思議と記憶に残っている曲である。
1978年当時の私にとっては、「一流スタジオミュージシャン=神」であるから、L.A.の凄腕スタジオミュージシャンで結成されたTOTOには飛びつくはずなのだが、残念ながら現在に至るまで真面目に聴いたことが一度も無いし感銘を受けた記憶も無い。
2017年の最後を飾る記事でもあるので、ロック聴かず嫌い反省の旅・・の集大成としてTOTOをYoutubeでじっくりと聴いてみた。
まず、メンバーの演奏力がとんでもなく高い事を改めて再認識する。特に、リズムが実にタイトだ。近年は基本ビートがコンピュータによって生成されている曲も多いので、リズムがタイトであることは当たり前・・という感じだが、人間系の演奏でタイトにリズムをキープする・・・というのはプロでもハードルが高い。何だかズルをしているようなレベルのタイトさである。
次にボーカルとコーラスのレベルの異常な高さに驚く。どうして、欧米のバンドってコーラスが上手なんですかね?コーラスが上手い(・・・というか売りにしている)日本のバンドはオフコースくらいしか思いつかん。欧米人とのフィジカルの差が影響しているような気もするし、”音楽をどう楽しむか?”という文化の違いも影響しているような気がする。
実に素晴らしいのだが、「TOTO好きですか?」と聴かれたら実は「うーん」となってしまう。それまでに聴きまくった1970年代の人間臭いサウンドとどうも異なるからだ。
このようなある種の個人的な違和感を端的に説明するキーワードが”産業ロック”というカテゴリである。”聴きやすいメロディー”、”リッチなサウンド”、”品質の高い演奏”という要素をもったロック・サウンドを表現するカテゴリである。代表的なバンドとしてはジャニー、フォーリナーなどがある。このキーワードを浸透させたのはロック評論家で有名な渋谷陽一オヤジであるらしい。我々世代においては、このオッサンは有名ですね。
産業ロックが本格的に発展していくのは1980年代に入ってからだが、楽器テクノロジーの進歩の影響が一番大きいだろう。特に、シンセサイザーがデジタル化され始めたことにより、キーボードによってストリングス、ブラスなどの高コストの音が低コストに実現できるようになったことが大きい。当時はYAMAHAのDX7とか色々なデジタルシンセサイザーの名機が生み出された。
ライブを主体とするロックバンドにとってはこれは非常に大きい。もう一つのコーラスに関しては、ライブ用の専門コーラス部隊を採用すれば、相当なクオリティのサウンドがライブで実現できてしまうのである。ライブで専門コーラス部隊を採用したって、聴衆はリッチなサウンドを求めているから文句は言わない(多分)。
こうやって考えると、確かにロックの産業化・・・みたいな感じはわかりますな。ライブの音をリッチというか、どんどん派手にできるので、ボーカルも感情移入型のハイトーンボーカリスト中心になるし、曲もシンフォニックな大袈裟なものになる。まさに、産業ですな。
実は、私はこういうサウンドが好みではない。私の愛するシカゴが14枚目以降のアルバムで”産業化”していったのに合わせて、急速に興味が低下して行ったのもうなずける気がする。
by crossovermiddle
| 2017-12-31 12:01
| 音楽全般